世界遺産で国宝の富岡製糸場の繰糸所は内部も公開されて見学できます。

富岡製糸場の主な建物

富岡製糸場の主な建物は、下の図で判るように、東繭倉庫(東置繭所)西繭倉庫(西置繭所)繰糸場の三棟がコの字型に配されています。この三棟は2014年の12月に国宝に指定されました。繰糸場は採光を考慮して南向きに建てられています。 ↓クリックすると画像が拡大されます↓ 富岡製糸場の建物配置図

富岡製糸場 繰糸所内部

繰糸所の内部では、繭から生糸を取るという製糸場の中でも、中心となる作業が行なわれていました。 この建物の内部の特徴は、中央に柱の無い非常に広く長い空間が造られていることです。 そのための工夫として、トラス構造を使いました。これは三角形を組み合わせた、西洋式の骨組みのことです。梁に直接の力がかからないため、柱と柱の間を、大きく取ることが出来ます。 そのため柱のない大空間を作ることが出来、作業しやすい環境が造られています。これによって大きな機械を置くこともできました。 この建物の柱や梁には当初からペンキが塗られていました。 これは使われている木材が、使用しているお湯の湿度で腐らないようにするためでした。 現在の繰糸所の床はコンクリート製ですが、当時の床は煉瓦で造られていました。 古い写真ではその模様を確認することが出来ます。 繰糸場内部には、昭和40年~55年の間に設置された日産製の自動繰糸器が設置されています。現存する繰糸器は昭和62(1987)年3月の操業停止時の状態で保存されています。 これ以後の操糸器は日本では製造されていませんので、の本性の操糸器では最新のものと言えます。

トラス構造の繰糸所内部

繰糸所トラス工法

トラス構造は、当時の日本建築では見かけることは有りませんでしたが、現在は、東京タワーや鉄橋等で見ることが出来ます。 トラス構造は、複数の三角形による骨組構造のことで、結合部である「節点」はボルトやピンなどで結合されています。 中程には、湿度対策のため「すのこ」のように間隔が開いた構造にもなっています。

床は当時煉瓦張りでした

繰糸所の古い写真をご覧ください。当時は床面が格子状に煉瓦張りであることが確認できると思います。 又、左右にはフランス式繰糸機が2列に並び、両窓際に揚返機が設置されている様子も判ります。窓にはカーテンが付けられていることも確認できます。 この写真は左側から光が差し込んでいますので、カメラを繰糸場の中ほどに設置し西から東に向けて撮ったこともうかがい知れます。カメラの背面にはこれと同等の操糸器が有ったっと思われます。

富岡製糸場工女勉強の図

この錦絵でも、床面がレンガ造りであることが、ハッキリ確認出来ます。 高下駄と赤い襷は1等工女だけに許されていました。初代の煙突に鎖の「はり」が四方に張ってあるのも確認できます。

YouTubeリンク先:VR富岡市   参考資料・文献:富岡製糸場アーカイブス 英語版富岡製糸場パンフレット  写真提供:富岡市 富岡製糸場

 

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